あるときは一般廃棄物、あるときは産業廃棄物?

 私たちが日常生活を送る上で、必ずつきまとうのがゴミ(廃棄物)です。ビ二ール袋や空き缶 、空き瓶、紙など実にさまざまですが、ゴミ(廃棄物)は大きく2つに分類することができます。ひとつは一般廃棄物、もうひとつが産業廃棄物です。 

 下の図を見てください。木がゴミとして発生するケースです。ひとつは木材製造工場で決められた形に木を切ることによって出てきた木の切れ端。もうひとつは、お父さんが日曜大工で犬小屋を作る際に出てきた木の切れ端です。どちらも木の切れ端であることは共通していますが、前者は産業廃棄物、後者は一般廃棄物に分類されます。

 産業廃棄物は廃掃法によって「事業活動に伴って生じた20種類の廃棄物」と 定義されています。そして一般廃棄物は産業廃棄物以外の廃棄物であるとしています。産業廃棄物か一般廃棄物かという区分は、質的に悪いか、環境汚染の原因となり得るかどうか、といったポイントがひとつの判断目安となります。

 木材製造工場の木は排出量が多く、耐火・防腐・防カビなどの特殊加工によって化学物質を含んでおり、質的にも環境に悪い可能性があります。そのため、木材製造工場から排出された木の切れ端は産業廃棄物に該当するわけです。

 産業廃棄物について定義されたのは、1970年代の飛躍的な経済成長に伴う公害問題が始まりです。特に工業の発展に伴い、多量の排水、排ガス、廃棄物が排出され、水俣病や四日市ぜんそくなど人体に深刻な影響をもたらしたことは、みなさんもご存じのとおりです。そこで事業活動に伴って排出される廃棄物の中でも、その性状や有害性などの見地から適正な処理を行なわなければ環境汚染の一因となるものを産業廃棄物と定義したのです。また現在では、爆発性・毒性・感染性など健康または生活環境に被害の恐れのあるものを「特別管理産業廃棄物」「特別管理一般廃棄物」と定義し、より厳しいルールで規制・管理しています。